MLB.com/Jim Streetさんの記事より
双頭のキャッチャー

昨年アリーグの捕手で.286/13HR/87打点、35%の盗塁阻止率を記録した捕手は
1)イヴァン・ロドリゲス(パッジ)
2)ホルヘ・ポサーダ
3)AJピアジンスキー
4)Daen Wilvis
の4人だけだ。

ダン・ウィルソンとベンデイビスを併用して使う(Daen Wilvis)マリナーズは昨年すばらしい捕手陣を持ち、またそのメンバーでキャンプをむかえる。捕手出身のBメルビンにとっては監督初年度にしてすばらしい捕手2人を持っていることはこの上ない喜びだ。

「そのことは長いシーズンを戦うチームにとって特に重要だ」メルビンは言う。「常に元気な状態(Fresh)に保つことができるし、彼らのうちでより調子がいいほうを、チームのために提供することができる」
メルビンはまだ3/25で34歳になるウィルソンと3/10で26歳になるデイビスをどのような配分でつかっていくか決めていない。しかしわずか20日間の休養日で3/25に東京ではじまり9/28にシアトルで終わる長いレギュラーシーズンの間お互いの捕手がより多くプレーしようとがんばるだろう。

マリナーズはその移動の都合上休養日が10日増えてはいるが。

ウィルソンは昨年104試合に先発した。彼の成功(.295/6HR/44打点)の多くは長いシーズンで多くの休みをもらえて元気な状態にたもっていられたことによるものだろう。ウィルソンの打率.295はマリナーズの捕手の過去最高の成績である。
「それははっきりと違いをもたらした」彼は言う。「打撃のカギは強い下半身。昨シーズンは多くの休みをもらうことにより、足が疲れることなく強いまま過ごすことができたんだ」

昨シーズンに先立ってパドレスから獲得されたスイッチヒッターのデイビスは、シアトルで55試合の先発出場、8試合の代打出場をあわせて.259/7HR/43打点の成績を残した。またデイビスがすばらしいのは44%の盗塁阻止率を誇ったことだ。

彼ら二人はレギュラー捕手(everyday catcher)としても十分にいい選手だろう。チーム最高の捕手でも彼らのどちらかにもおよばないチームはいくつもあるだろう。
一方が他方に怒りや嫉妬心を持つことだけには気をつけなければならないということを彼らも良く分かっている。2人で1つの仕事を成し遂げるのだ。
1人は93年以降のチームのNo1捕手を務めてきたベテラン。もう1人は将来のNo1になるだろう若手。

「僕は忍耐強い人間ではありません。でもこの状況に適合しなければならないのです」デイビスは言う。「僕は他の選手のように毎日試合に出たい。でも何が一番正しいのかはわかっています。忍耐強くしなければ自分が狂ってしまうのはわかっています。僕は状況を認めて自分の仕事をきっちりこなすだけだよ」
デイビスは、特に01年パドレスでレギュラー捕手としてやってきた直後だったこともあり、昨年ほとんど楽しめなかったと言う。
「138試合の先発マスク(01年)からわずか55試合(02年)になってしまったんだ。けっしていいことじゃないよ」彼は言う。「僕は全然好きじゃなかったけど、でも色々なことを吸収した。ただがむしゃらにやるだけだったよ、自分の名前をラインナップに載せるためにね」
デイビスは後半戦に強かった。7月に.320、8月に.308の打率を残した。そして9月にうった2本のHRのうち1本は最終戦での代打3ランホームランだった。そう昨シーズン代打の成績が顕著にわるかったマリナーズでのシーズン唯一の代打ホームランだ。

ウィルソンの最良のシーズンは、上下動の激しいジェットコースターのようだった。
彼は4月に.344、5月に.229、6月に.350、7月に.231、8月に.324、9月に.278の打率を記録した。シーズン終了後彼はFAになってシアトルの街に別れをつげることもできたが、そうせずに2年700万ドルで残留した。
「妻のアニーと何度も話し合い、自分たちが本当にシアトルにとどまりたいという結論に達した」と彼は言う。「僕は彼らと再契約のテーブルにつき、向こうもそれを望んできた。それはいいパートナーシップだった」

ウィルソンは"同僚"について体験を交えて助言をすることができる。
「僕たちはいい関係をもっているし、お互いと仕事をすることを楽しんでいる」という。「僕も昔同じ体験をしたんだ。ジョー・オリバーは後継者である僕を常に気にかけてくれていた」(ウィルソンは90年レッズのドラフト1位(全体の7位)、デイビスは95年パドレスのドラフト1位(全体の2位)と経歴も似ている)
「すべてがうまくいかなくなったとき、チームがよりよくなることの1つには"個人"ではなく"チーム"を重要だと悟ることだよ。それは推進力となる」

デイビスも同じことを考えている。
「僕はお互いに相手の名前をラインナップに見たとしても取り乱したりしちゃいけないと思っている。ダンと僕はすばらしい友達さ。そして僕らはいつもいいヤツ(good guys)。どちらかが足を引っ張ったりすることはないよ」

メルビン監督はCatch-22(矛盾のため身動きがとれない)の状況だという。(Catch-22とは戦争の矛盾に苦悩する飛行士の姿を描くアメリカの名作長編小説"Catch-22"を引用して使われる表現です)
「通常若いやつが先発マスクをかぶり、ベテランがバックアップをする」とはメルビン。「しかし例外がここに存在する。ベンはまだまだ成長させたい素材だ。しかしまだ合格点を与えるほどではないんだ。でもベンの成長を早めるためにも使うことが必要だと思う」(つまりベンの成長のためには試合に使うことが必要だが、試合に使うためにはさらなる成長が必要という身動きの取れない状態。)

「大切なのはそれらの両方ともが元気で、いつでもいける準備ができていることだ」
メルビンはDaen Wilvisがもう1シーズンうまく働いてくれることを期待している。