妥 解
2003年のマリナーズを展望する

文章:yosiie
マママママリナーズ

打順論

 来シーズンはマリナーズにとって変革の年であってもらいたい。長らくチームの中心として活躍してきたMrマリナーズ、Eマルティネスは来季限りでの引退が濃厚とされているし、同じく中軸のJオルルッドは04年を最後に引退することを公言している。今チームに求められているのは変革なのである。

 その旗手新3番打者に新加入選手Rウィンの名前を挙げたい。3番打者が打線のカギを握ることは明白な事実であり、チーム1番の強打者がそこに居座ることはわかっている。それでもなお昨季14本塁打しか打っていないウィンを推すのには二つ理由がある。
■02年得点圏での成績■
打率 打点 本塁
イチロー .361 42 1
ウィン(TB) .316 64 6
オルルッド .311 75 5
ブーン .304 82 6
デイビス .300 40 5

 ひとつには彼の得点圏での打率の高さだ。彼の今季の成績.316は昨年のマリナーズの選手と比べてみても2番目に高い数字となる。そしてダブルプレーが6つしかないということも大きな強みである。ちなみにJオルルッドは昨年11のダブルプレーを喫した。

 もうひとつは、彼の足の速さである。3番打者はもちろんランナーを還す仕事も重要な仕事ではあるが、それと同時に出塁して還ってくることも要求される。だから足が速いということは大きなアドバンテージとなる筈である。

 もちろん昨年141打点をあげてタイトルをとったBブーンが今季わずかに107打点だったことを考えれば、01年は128試合、00年はわずか52試合の出場で得点圏打率も.286、.250だったウィンを不安視するのも当然だと思う。しかし変革に挑戦は必要であるし、この役割をこなせるニューヒーローの誕生も必要不可欠である。Bブーンこそがこの役割に適任だという声もある。正論である。後述するが、彼には重要な仕事を残してある。

 スモールボールにおいてランナーを還す役目が一番求められるのは、実は4番打者かもしれない。名将TラルーサはカージナルスでMマグワイアを本塁打をうつチャンスを増やすため3番にあげたときに、その役割を代わらぬものにするため、投手を8番に繰り上げたほどだ。(マグワイアと聞けばホームランを想像するかもしれないが、彼は得点圏での右打ちもできる男だった)その役目に一番適任なのはJオルルッドではないだろうか。

 今季の犠牲フライの数12本はダントツでチームトップの数字である(より多く試合に出場したBブーンはわずか6本)し、得点圏での勝負強さも出てきた。広角に打ち分けることができるのも彼の強みである。本来ならばこの役割に最適なのはEマルティネスかもしれない。しかし怪我ががちな、引退しようという人間にこの役割を任せておいて果たして本当にいいものだろうか。
■長打率■
Jオルルッド .490
Eマルティネス .485
Bブーン .462
Mキャメロン .442
イチロー .425

 足が速くない打者が一塁に出た場合蓋となってしまう。スモールボールにおいて一番嫌うパターンである。そこで新5番にあげたいのはお待ちかねBブーンだ。オルルッドに次いでチームで2番目の34本の二塁打を放っている点など長打の多さは注目すべきだ。足が速くないオルルッドを還す、進塁させるためには長打が必要なのだ。もちろんRウィンの長打率.461、二塁打39本という数字はブーンに引けをとらない、上回る数字ともいえるがブーンは当たり年だった01年長打率.578を記録した実績もある。(ウィンは01年.401、00年.302である)長打を打つという点ではブーンが最適なのである。そして彼はチャンスにも強い。昨年.302と打率(.331)よりも低かった得点圏打率が打率が大きく下がった(.278)今季は.304と若干ながら上昇している。つまり去年はたくさんのチャンスを潰しながらも手にしたタイトル、今季は苦労しながらの107打点だったのである。

 5番にEマルティネスをという声もあるだろう。長打率、広角打法、ブーンよりも30試合も少ない97試合での6犠飛、今季は.258だったものの99-01年の3年間では.306だった得点圏打率を考えると至極真っ当である。しかし蓋に蓋を重ねる行為は決していいことではないし、怪我が多く足が遅いため7回には代走を送られるシーンが来年はさらに増えそうな彼を6番に置いておくのがもっともふさわしいのではないだろうか。

 ブーン同様"蓋"を取り外す役割を担う7番に推すのはMキャメロンである。今季は多くの期待を集め、開幕時は絶好調だった彼も極度の不振に陥り結局キャリア最低級の打率.239に終わり、176三振は球団新記録を更新した。それでも25本塁打はチームトップであるし、出塁率.340も決して低い数字ではない。さらに投球数/打数のはリーグ7位(下図)だ。問題はメジャー6年間で平均30盗塁している"脚"がEマルティネスという蓋によって邪魔されるのではないか、という点とあまりに低い打率でせっかく出塁したEマルティネスを見殺しにしてしまうんじゃないかという点だ。"脚"という点では確かに二塁に(盗塁した)キャメロンがいるのと、他のランナーがいるのとでは圧力が全然違うので確かにマイナスかもしれない。しかし逆に考えると、投球数をできるだけ多く投げさせ投手をイライラさせて、出塁すれば足で牽制するということができるキャメロンのあとを打つ"下位打者"は自分の力以上のものが出せるのではないだろうか。
打数あたりの投球数
全体順 名前 P/PA
7 キャメロン 4.1
26 ギーエン 3.9
27 オルルッド 3.9
29 ウィン(TB) 3.9
48 ブーン 3.7
58 シリーロ 3.5
62 イチロー 3.5

 今季打率が大きくあがった(.265→.295)ウィルソンはもともと強かったランナー在りの場面での打率を.316(特に一塁のみだと.431)と高い数字を残し、苦手のランナー無しの場面でも.277(01年.234)と安定した数字を残したことが直接的な打率アップの要因となっている。が実は一塁にキャメロンがいたこと、前の打者がキャメロン、ギーエンと球数を投げさせる打者だったことも大きく関係しているのではないかと思われる。
 マルティネスを還すか否かという点では、大きな当たりでもない限りそもそも彼を還すのは難しいと割り切って考えたい。そう考えるとチーム1の25本塁打、チーム3位の5三塁打、チーム4位の26二塁打を放っているキャメロンがこの役目に適任に見えてくるのではないだろうか。

 2番打者にはあえてJシリーロを、と考えている。広角打法ができるし、チーム2位の9犠飛からみても分かるように状況に合わせたバッティング技術にも長けている。足も遅いわけではなく、ここ3年間での得点圏打率.332と"本来なら"勝負強い打者である。もっとも投球数/打席の少ない積極的な、しかし言い換えると淡白な1、2番コンビを作るという点では不安はある。がそこは再生して"真のシリーロ"となったシリーロの能力をもってすれば全く問題ないだろう。
ギーエン打撃成績
試合 打率 打点 本塁 三塁 二塁
00 90 .257 42 7 2 15
01 140 .259 53 5 4 21
02 134 .261 56 9 6 24

 1番につながる打順9番に足が遅い選手を持ってくるのはいただけない。となると決して足が速いわけではないが、おのずとギーエンが9番となるだろう。一番打力の無い選手がくることの多い9番にやはり一番打力がないだろうギーエンがきたのは当然といえば当然ではあるが、彼は本格メジャー定着した00年以降.257、.259、.261と打率をあげている。また表のように主な打撃成績が軒並み上昇している。特に三塁打では今季チーム1だった。あまり期待しすぎたら裏切られるかもしれないが、期待しなければ意外と活躍してくれる可能性は十分にある。

 あまりもの、取ってつけたようになってしまった8番だが、今年もウィルソン=デイビスのツープラトン体制で望む捕手が入るだろう。出場機会は今季も3:2くらいにはなるだろうが、チャンスメイクに長ける巧打ウィルソンとチャンスに強いパワーのデイビス、どちらがはいってもそれなりに機能はするだろう。特にデービスは例年シーズンが進むごとにバテテ打率が下降していくところが、今年は後半戦.294/6HR/25打点と大暴れ。そういう意味では、二人にとってお互いにいい使い方なのかもしれない。


 来シーズンマリナーズがどんなオーダーでどんな試合をしているのかは、予測不可能だということは十二分に分かっている。なにが足りなかったのか、なにが必要なのか、残念ながら真実はここにはないだろう。この文章はきっと徒労と呼ばれるものだろう。

それでもマイク・キャメロン、マーク・マックルモアが"都合上"も含め今シーズン全打順で打席にたっていたことを知ったときにふっと得した気分になれたのである。
1 RF Ichiro Suzuki
2 3B Jeff Cirillo
3 LF Randy Winn
4 1B John Olerud
5 2B Bret Boone
6 DH Edger Martinez
7 CF Mike Cameron
8 C Dan Wilson
9 SS Carlos Guillen

あとがき

文中の敬称はすべて省略させてもらいます。